カサネタリウムの日記 -Kasa Date 傘立て-

カサネタリウムの活動を中心に記事にしていきます

『Magnepick GO』の作り方

『Magnepick GO』とは

Magnepick GOとはカセットテープの磁気ヘッドを使って、磁石のSNSN…を引っ掻いて演奏する楽器です。 カセットプレイヤーは音の情報を磁石のSNSN…に変えてテープに記録しています。 それを磁気ヘッドを使って読み取ることで再び音として再生しています。 Magnepick GOはカセットテープからの磁気ヘッドを取り出して作った楽器です。 これを使うとカセットテープ以外にも磁石のSNSN…を音に変えて演奏することができます。 例えば

  • カセットテープ 、オープンリール、ビデオテープなどの磁気テープ
  • 電車の切符に記録された磁気情報
  • テレフォンカードに記録された磁気情報
  • 板磁石(ポストに届く水のトラブル系の板磁石)

を使って音を取り出すことができます。動画は電車の切符と板磁石を使って演奏した様子です。


Magnepick GO ー 切符の磁気情報と磁石の縞から音を取り出す ー

そのほかに家電製品から漏れ出る電磁波を拾うこともできます。動画はスマホから漏れ出る電磁波を音として取り出した様子です。


Magnepick GO ースマホからの電磁波ノイズを拾うー

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Magnepick GO

Mangnepick GOの組み立ての準備

半田付けが必要になりますので半田付けができる道具一式が必要となります。

  • ハンダごて(温度調整機能付き推奨)
  • ハンダ(手で触るので鉛フリー推奨)
  • 先の細いピンセット

などはご自身でご用意ください。

『Magnepick GO』の製作必要な以下のパーツは配布いたします。(現在準備中)

  • Magnepick GO基板

    右利き用は青色基板、左利き用(Magnepick GO Lefty)は緑色の基板です。

  • カセットテープ の磁気ヘッド

  • カセットテープ の磁気ヘッド固定基板

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Magnepick GO 基板、カセットテープ の磁気ヘッド、磁気ヘッド固定基板

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Magnepick GO Lefty (左利き用)基板、カセットテプの磁気ヘッド、磁気ヘッド固定基板

その他に必要となる電子パーツは秋月より購入が可能です。 AkiCartから必要なパーツを一括で購入可能です。

Magnepick GO のパーツ | AkiCart

aki.prioris.jp

パーツ番号 パーツ名 秋月商品名 価格 URL
U1 表面実装電池ホルダ R2032 ボタン電池基板取付用ホルダー(金属フレーム) CR2032用 ¥50 http://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-06925/
R1 抵抗 10kΩ 超精密級 金属皮膜チップ抵抗器 2012 1/8W10kΩ0.1% (5個入) ¥100 http://akizukidenshi.com/catalog/g/gR-11797/
R2 抵抗 1kΩ 超精密級 金属皮膜チップ抵抗器 2012 1/8W1kΩ0.1% (5個入) ¥100 http://akizukidenshi.com/catalog/g/gR-11796/
D1,D2 ダイオード チップダイオード GS1010FL(10個入) ¥100 http://akizukidenshi.com/catalog/g/gI-06014/
D3 LED 高輝度黄緑色チップLED 2012サイズ L-C170GCT(10個入) ¥150 http://akizukidenshi.com/catalog/g/gI-06492/
IC1 オーディオアンプ オーディオアンプIC HT82V739 ¥50 http://akizukidenshi.com/catalog/g/gI-13356/
IC2 MOS FET デュアルPchチップMOSFET Si9933ADY(20V3.4A) (5個入) ¥200 http://akizukidenshi.com/catalog/g/gI-05837/
C1,C3 コンデンサ 1μF チップ積層セラミックコンデンサー 1μF16V B 2012 (50個入) ¥100 http://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-09174/
C2 コンデンサ 47uF チップ積層セラミックコンデンサー 47μF16V B 3225 (5個入) ¥200 http://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-04657/
J1 USB microBコネクタ 基板用マイクロUSBコネクタ(電源専用) ¥30 http://akizukidenshi.com/catalog/g/gC-10398/
J2 イヤホンジャック 3.5mm小型ステレオミニジャック 基板取付用 ¥50 http://akizukidenshi.com/catalog/g/gC-02460/
S1 スイッチ 表面実装用スライドスイッチ SSSS213202 (10個入) ¥300 http://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-05043/
ボタン電池 R2032 リチウム電池 CR2032 ゴールデンパワー製 (5個入) ¥200 http://akizukidenshi.com/catalog/g/gB-05694/

ダイオード と 1μFコンデンサー は2個ずつ必要となりますが、上記のパーツを購入することで必要個週以上が購入できます。

Magnepick GOの作り方

写真の青色の基板が右利き用基板、緑色が左利き用の基板です。 基板の「Magnepick GO」とプリントされている面が基板の表面、記載されていない面が裏面です。 基板に書かれえている各数字が上記の表のパーツ番号と一致するようになっています。

電池ホルダーの取り付け

U1(表面実装電池ホルダ)を用意します。 2箇所の四角形と電池ホルダの四角形が重なるように重ね、1箇所ずつハンダ付けしていきます。 重なった状態で半田ごてで基板の四角形とホルダーの四角形両方に熱を加えながら、ハンダを流し込むことで固定されます。 ハンダごての温度は無鉛はんだなら320℃が前後に設定します。 取り付けの際に電池ホルダーが高温になるため注意してください。

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電池ホルダー

抵抗の取り付け

R1 (10kΩ)、R2 (1kΩ)を用意します。 基板のR1と書かれた位置に10kΩを、R2と書かれた位置に1kΩをはんだ付けします。 (ちなみに10kΩには「103]、1kΩには「102」と記載されています。103 => 10 ×10の3乗で10kΩ、102 => 10×10の2乗で1kΩです。)

表面実装のパーツのはんだ付けの方法

まず1箇所に予備ハンダをつけます。

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表面実装のハンダ付け(予備ハンダ)

ピンセットで対象の電子パーツを掴み先ほど基板に付けた予備ハンダを溶かして固定します。

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表面実装のハンダ付け

これで電子パーツが固定されるため、残り一方もハンダ付けします。 以上の要領でR1、R2をハンダ付けしていきます。 ハンダ付けしたあとの基板が次の写真です。

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抵抗R1、R2をハンダ付けした基板

ダイオードの取り付け

D1,D2 (ダイオード)と用意します。 D1,D2には向きがるのでご注意ください。 図のようにダイオードの線が入っている側が基板の「k」の記号が書かれている方になるようにハンダ付けします。(線の入っている方向がダイオードのカソード側になります。カソードは英: Cathode、独: Kathode でダイオードの記号がーK|ーにも見えることから私はkと書くようにしています。)

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ダイオードの向き

ダイオードをハンダ付けしたあとの基板が次の写真です。

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ダイオードをハンダ付けしたあとの基板

LEDの取り付け

D3 (LED)を用意します。 LEDのには向きがあるのでご注意ください。 図のようにLEDの緑色のしるしが図のように基板の「コ」の字の折り返し側となるようにハンダ付けします。

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LEDの向き

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LEDをハンダ付けしたあとの基板

ICチップのとりつけ

IC1 (オーディオアンプ)、IC2 (MOS FET)を用意します。 ICには向きがるのでご注意ください。 図のようにICチップの「○」の印が基板のしるしの位置になる向きにハンダ付けします。 他の電子パーツのハンダ付けと同様に1か所だけ先にハンダ付けをして固定したのちに残りの足をハンダ付けすると楽かもしれません。 (カプトンテープなどで固定しても良いと思います)

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ICチップの向き

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ICチップをハンダ付けしたあとの基板

コンデンサの取り付け

C1,C3 (コンデンサ1μF)、C2(コンデンサ47μF)を用意します。 このコンデンサには向きがありません。

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コンデンサをハンダ付けした基板

USBコネクタ、イヤフォンジャック、スイッチの取り付け

J1 (USB microBコネクタ(以下、USBコネクタ))、J2 (イヤフォンジャック)、S1(スイッチ)を用意します。 背の低い順 J1、J2、S1の順にハンダ付けしていきます。 スイッチには向きがありません。 イヤフォンジャックは表面に取り付けます。

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USB端子、イヤフォンジャック、スイッチをハンダ付けした基板

カセットテープの磁気ヘッドの取り付け

カセットテープ の磁気ヘッドと固定基板を用意します。

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カセットテープ の磁気ヘッドの磁気ヘッド固定基板

磁気ヘッドと固定基板の準備

磁気ヘッドと固定基板を一体化します。 磁気ヘッドから2本のピンが出ているので、図の向きにハンダ付けします。 固定基板には裏表があるためご注意ください。写真のようになるようにハンダ付けしてください。 磁気ヘッドの2本のピンの位置に個体差があるため固定基板はかなりゆとりのある設計にしています。 固定基板が磁気ヘッドに対して斜めにならようにハンダ付けしてください。

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磁気ヘッドに磁気ヘッド固定基板をハンダ付けしたもの

磁気ヘッドの取り付け

あらかじめ磁気ヘッドを固定する位置の電極パッドに事前にハンダを盛っておきます。導通を取りつつ、固定もするため、たっぷりとハンダを盛ってください。 写真は基板の表面ですが、裏面にもたっぷり盛ってください。

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磁気ヘッドを取り付けるための表面予備ハンダ(同様に裏面にも予備ハンダをする)

予備ハンダ後のMagnepick GOの基板と磁気ヘッドを以下の図で示しています。

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Magnepick GOの基板と磁気ヘッド

Magnepick GOの基板と磁気ヘッドの基板を垂直に配置します。

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Magnepick GOの基板と磁気ヘッドを垂直を垂直に配置

Magnepick GO の基板と磁気ヘッドの固定基板には基板の厚みや基板の中心に位置合わせ用の基準線(白線)が書かれています。 それを基準にMagnepick GO基板と磁気ヘッドのだいたいの位置を合わせます。

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Magnepick GO基板と磁気ヘッドの位置合わせ(基準線(白線))

事前にMagnepick GOの基板両面に付けた予備ハンダをハンダごてで溶かし、磁気ヘッド固定基板の電極と導通を取りながら溶接します。

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予備ハンダを溶かして磁気ヘッドを基板に固定

予備ハンダを溶かして磁気ヘッドを表面、裏面の両面からしっかり固定します。合計で4か所で固定されます。

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ハンダで固定された磁気ヘッド

磁気ヘッドは次の写真のようにMagnepick GO基板に固定されます。

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Magnepick GO基板に固定された磁気ヘッド(表面)

ジャンパーの選択

最後にジャンパーを配線します。LINEかBTLをハンダで短絡させます。基本的にLINE側を短絡させます。

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ジャンパーの選択(LINEをハンダ付け)

Magnepick GOはBTL(Bridge-Tied Load)も選択可能です。もしBTLを使用したいときはLINEを短絡させずにBTLを短絡させます。詳細な説明や、用途は以下に記載しておきます。

BTL(Bridge-Tied Load)とは

BTLは反転アンプを使うことで同じ電源を使用しいても通常のアンプの倍の信号出力を得ることができます。 例えばアンプで通常信号が2倍になる場合、BTLを使用することで4倍の出力信号を得ることができます。 しかしこの方法では出力の基準がGNDではなくなるため、出力信号をエフェクタなどに接続することを想定している場合は使用しないでください。 出力をイヤフォンに接続して微小な電磁波ノイズの音を聞くような用途で使用する場合はBTLを使うと良いかもしれません。

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BTLについて

爪の除去

カセットテープ の磁気ヘッドにはテープがずれないように爪がついています。 切符などの磁気情報を読む際に邪魔になるため、必要に応じてラジオペンチ曲げる、ペンチで切り取るなどしてください。

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磁気ヘッドの爪

完成したMagnepick GO

以上でMagnepick GOは完成です。

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完成したMagnepick GO (表面)

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完成したMagnepic GO (裏面)

Magnepick GOの使い方

ボタン電池(R2032)、またはUSB端子電源(モバイルバッテリーも可)を接続します。(ボタン電池とUSB micro Bの両方から給電されているときな自動的にUSB端子側から消費されるためボタン電池は消費されません。) イヤフォンジャックにイヤフォンやスピーカーを接続します。 電源スイッチをONにします。電源がONになるとLEDが点灯します。(使用後はLEDが消灯してOFFを確認してください。) 持ち方は、利き手の親指で表面の電子パーツが配置されていない部分を、人差し指で基板の側面を、中指で基板の裏面の電池ホルダーを掴むように持つと安定します。

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Magnepick GO の持ち方

カセットテープ の磁気ヘッドで切符を擦ることで音を取り出すことができます。

イヤフォンジャックとUSB端子の間の穴はキーホルダーやネックレス、ケースを作ったときの固定用に開けています。ご自由にご使用ください。

基板は鉛フリーで製作していますが、使用後はよく手を洗ってください。

簡単な動作確認方法

動作確認をするおすすめの板磁石を使用する方法です。 板磁石は実は磁石のSNSN...の縞のパターンでできています。 そのため、板磁石をMangepick GOの磁気ヘッドで擦ることで簡単に演奏することができます。 その方法は次の通りです。

  • ボタン電池を入れる
  • イヤフォンジャックにイヤホンを挿す
  • スイッチをONにする
  • 水のトラブル系の磁石の黒色の面(広告が印刷されていない面)を磁気ヘッドでいろいろな方向に擦る
  • イヤフォンから音が聞こえる

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おすすめの動作確認方法(ボタン電池、イヤフォン、板磁石を用意)

磁気ヘッドの読み込み位置について

磁気ヘッドの読み込み位置は次の図の位置になります。 その位置に磁石の縞や切符やクレジットカードなどの磁気情報が記録されている部分を押し当てて擦ることで、イヤフォンジャックから音の波としてその情報を取り出すことができます。 図のようにMagnepick GOをギターのピックのように磁石(磁気情報)に押し当てた状態で引っ掻いて(スライド)みてください。 磁気情報のパターンやスライドする速度に応じて音の高さが変わります。

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磁気ヘッドの読み込み位置と音の取り出し方

磁石の縞(磁気情報)が記録されたもの

磁石の縞があるものとして板磁石以外に電車の切符、クレジットカード、ポイントカード、テレフォンカードなどが挙げられます。 切符やカードを使用する際は使用済みのもの、廃棄前のものをご使用ください。 また音が記録されたカセットテープを引き出して音源として使うのも面白いと思います。 イヤフォンジャックから取り出した音にギターのエフェクターなどを通すこともできます。

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磁石の縞(磁化情報)が記録されたもの(板磁石、電車の切符、クレジットカード、ポイントカード)

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磁石の縞が記録されたもの(カセットテープ )

磁石のSNSN…の縞(磁化情報)は見ることができませんが、それを確認する手段として磁界観察シートを使うことで確認することができます。

磁界観察シート1/8

磁界観察シート1/8

  • メディア: おもちゃ&ホビー

磁界観察シートを使うと、板磁石の磁石の縞パターンも簡単に観察することができます。

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磁界観察シートで板磁石の磁石の縞の様子を観察

切符の磁気情報が記録されている位置も簡単に確認することができます。

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次回観察シートで切符に記録された磁気情報の様子を観察

電化製品の電磁波ノイズを使った演奏

そのほかに磁気ヘッドを電化製品に近づけてみてください。 電化製品から漏れ出る電磁波ノイズを聞くことができます。 それをそのまま音源として使用しても面白いです。 またボタン電池とイヤフォンを差して、電磁波ノイズ探しをするのも楽しいです。 小型のスピーカーがあると簡単に音を確認することができて大変便利です。

その他(裏話も含む)

Magnepick GOの開発の話を分解のススメのLTで話しました! Mangnepick GOができるまでの製作過程についてお話ししています。 お時間ある方はご覧ください。


#分解のススメ 第2回 LT カサネタリウム Yosuke Hori @kasanetarium パーツ取りとしての分解とメイク

Magnepick GO の他にホールスルーの電子パーツを使用する代わりにUSB給電にのみ対応したMagnepick namoがあります。こちらについても配布を検討しています。

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Magnepick nano

電磁波ノイズを拾う場合は磁気ヘッドの代わりにエナメル線を数十回巻いたものを取り付けることで、それをアンテナにしてノイズを拾うことも可能です。 写真はミシンの下糸用のボビンにエナメル線を20周巻き付けたものをアンテナにしています。 この時はMagnepick nano(しかも基板が大きい試作版)を使っていますがMagnepick GOにももちろん取り付け可能です。

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電磁波ノイズを拾うために磁気ヘッドの代わりにコイル(エナメル線を手巻きしたもの)を取り付け

配線図、回路図

PCB(プリント基板)の配線図です。右がMagnepick GO、左がMagnepick GO Lefty です。Leftyはさも右利き用をさも線対照に反転させているだけのように見えますが、ICチップの足は反転できないため、単純な線対照ではありません。LeftyはLeftyで一から配線しています…。また基板裏面の大面積をボタン電池が締めるため、その部分は貫通ビアを使って導線を逃すことができないため(通常は配線が交差する場合は貫通ビアを使って基板の裏面、表面に逃すのですが)、配線はかなり苦労しました…。 ギターのピックのように持てるようにしている点(電子パーツを寄せて親指を置く位置がある点、持った時に音を取り出すイヤフォンジャックができるだけ邪魔にならないように配置している点)がこだわりポイントです。

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PCB配線図

PCBの回路図です。ボタン電池でもUSB給電でも使えるようにしてる点(USBからの5V給電時に電池からの3Vの回路が自動的に切れるようにしている点)、BTLを選択できるようにしている点がこだわりポイントです。

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PCB回路図

物を作るということ how to turn your ideas into products

自分が作品を作るときにやっていることをまとめてみました。

これまでの作品や出展履歴はホームページに載せています。 https://kasanetarium.web.fc2.com

〇体験をデザイン

自分が見せたい世界、体験させたい世界をイメージします。

僕は思いついたことをすぐにメモできるようにメモ帳を持ち歩いています。

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10年間書き溜めたネタ帳

最近はiPadも活用しています。

・文字化

 キーワードを文字で書きだします

・想像

頭の中で自分が体験したい妄想を広げます。

・イラスト化

整理するためにイラストを描きます。

イラストが描けた時点で一つの目標を達したといっていいほど重要な行為です。

はじめのうちは最終的な完成品がこのイラストとかけ離れたものであることが多々ありますが、ある時を境に最初に描いたイラストをそのままアウトプットできる日が来ます。

それは技術力が向上したということもありますが、最初の段階でプロトタイプに必要となる様々な要素を最初の段階から考慮できるようになったということです。

・動画

私はしませんが、イメージを膨らませるため、また仲間とイメージを共有するためにこの段階でイメージを動画として撮影するという手法もあります。

・要素の箇条書き(ToDoリスト化)

上記の通り、実現に必要となる要素をできるだけ細かく記述します。

今の自分に足りない要素があれば勉強する必要があります。

勉強のついでに先行事例の調査も並行して進めます。

・要素ごとの検証実験

最初からプロダクトの試作に進めることはまずありません。

要素ごとに分けてすべてが問題なく動作することを確認します。

簡単な電子回路とマイコン、プログラミングで要素ごとにテストを進めます。

〇プロトタイプ

妄想を具体的にデバイスに落とし込みます。

・形状デザイン

大体の形状のイラストを描きます。

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目的地を教えてくれるコッチ!くんのアイデア

この形状に収まるようにパーツを選択してく必要があります。

・電子パーツの選択

必要なセンサ(センシング)、アクチエータ(駆動、出力)を考えます。

そのほかにも電圧を制御するための回路など必要な回路とそれに必要なICチップをピックアップしていきます。

世の中に大量にある電子パーツの中から、形状にマッチするか、駆動電圧、金額(割とネック)など総合的な判断が求められます

ブレッドボードを使って簡単に動作確認などを行います。

・機構の設計

動くものであれば、イメージしている動作を実現するための機構を設計する必要があります。

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目的地の方向へ傘を倒す装置「カサナビ」の傘を倒す機構のアイデア

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目的地の方向へ傘を倒す装置「カサナビ」の機構(※最終的にはボツ案だけど実際に作ったもの)

簡単にパーツを3Dプリンタで出力して実験をします。

タミヤのITEMシリーズも使えます。

・ネットワークの選択

最近では、単体で完結せず、ネットワークを使うこともあります。

その際は WiFiBluetooth、有線、など何が必要か考えます。

それによって、デバイスを制御するマイコンやラズパイなどの選択肢が見えてきます。

・回路設計

手書きの回路図を描きます。

その回路図をもとに電子回路のCADを起こします。

CADを元に半田付けします。修理等で見返すこともあるため、簡単な回路であっても面倒くさがらず図面化しておくことが大切です。

配線の方法にもかなりノウハウがあるため、ネットに落ちている情報を見つけたらノウハウとしてまとめておくとよいでしょう。(SNSでたまに、この基板設計は良くないと盛り上がっているものがったらURLをコピーするようにしています。)

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CADに起こした回路図

設計した基板は中国に依頼すると短納期(2週間)でプリント基板(PCB)として納品されます。

PCBについてもどのサービスを利用するといいなどのノウハウがあります。

複雑な回路が必要な電子パーツについてはブレッドボードで試すのも大変なので、最初からPCBを作ってしまって実験することもあります。

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MagnepickのPCBデータ

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Magnepick 電子パーツはんだ付け後

PCBAという最初から電子パーツも載せて納品してくれるサービスもあります。

私は利用したことがありませんが、大量に同じものを作る必要がある場合は利用するとよいでしょう。

電子パーツの入手先なども指定したエクセルシートを用意する、手に入りにくいパーツは支給するなど難易度は上がります。

マイコンの選択

上記のすべてを満たすことができるマイコンを選択します。

大量のマイコンが存在し、それぞれ機能、処理能力、消費電力(電源電圧)、開発環境が異なります。

サイズが割とネックとなることもあります。

最適なマイコンを選択するというのもノウハウとなることがあります。

もし並列処理がどうしても必要な場合はマイコンではなくミニコンピュータといわれるラズベリーパイを利用します。

・3DCAD設計

3Dですべての電子パーツと基板、マイコン(ラズパイ)が収まる形で形状を3DCADで起こします。

基本的にすべての電子パーツをノギスで測り、干渉しないように3DCADに反映する作業が主になります。

機械動作がある部分についてはCAD上で組み立てて、制限を与えることで実際の動作をCAD上で確認することができます。

出来上がった3DCADデータを元に3DプリンタやCNCを使って、形状を出力します。

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カサナビ3DCADデータ

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コッチ!くん3DCADデータ

割と忘れがちなのが組み立て方(組み立て方手順)、ねじ止めの位置を考慮しておくことです。3DCAD上ではうまく組まれていても、実際に3Dプリンタで出力してみたら、ネジの位置がとんでもないところにあって、組み立てられないということはよくあります。

・3Dプリンタ

家庭用の3Dプリンタが安くなってきたこともあり、3DCADで設計したデータはそのまま出力して実物で確認することも容易となりました。 

外部サービスに出力もあり、約1週間で届くため利用するという方法もありますが、自宅で出力するのに比べて非常に高価です。

精度(ある程度)が必要なパーツや、どうしても強度が必要なパーツのみ外部サービスを利用するなど、家庭用3Dプリンターと外部サービス使い分けがおすすめです。

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カサナビのパーツ(3Dプリンタで出力)

レーザー加工機

アクリル板やMDF板を組み合わせて作れるような物であればレーザー加工機で製作できます。

こちらもデータを送るだけで成果物を納品してくれるサービスがあります。

木製の板の場合、加工面がどうしても焦げてしまうので、人によってはヤスリで加工面を削り取ってる場合もあります。

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Heartbeat in the bulbに使用したMDF板

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Heartbeat in the bulbに使用したMDF板

・プログラミング

マイコンミニコンピュータを動かすためにプログラミングを行います。

電子パーツ、特にモジュール化されているものに関してはライブラリが存在している場合も多く、それを利用することで開発の難易度を下げることができます。 (姿勢制御で9軸センサーを使用したときは最適なライブラリがなく、一から作った方が楽なこともありました。)

巨大な行列を定義するとマイコンの動作が不安定になるなど、どこにも載っていない謎の仕様があります…。

作品に応じて、マイコン以外にもPCのソフト開発やネットワークのプログラムを書く必要があります。

最適な開発環境、開発言語の選択が必要となります。

・操作としてもデザイン

体験をするにあたって体験者に求める動作に違和感があっては体験がぶれます。

例えば糸電話型デバイスであれば上下左右がなく、いろんな方向いろんな持ち方ができます。持ち方を指定すること(例えばこっちを上にしてくださいのような指示)は体験がブレるため、ロボットの姿勢制御技術を取り入れることで、どんな持ち方でも体験できるようにしています。

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ミエナイトデンワの姿勢制御

ボタンの数や意味もきちんと考える必要があります。ある体験に対して3個のボタンで完結するよりも、1個のボタンで完結する方が使いやすく、体験をぶれることなく伝えることができます。ボタンを少なくすることは体験の意味をよく理解し、プログラミングする必要があります。心拍を電球に保存する装置では、電源スイッチを除けば、操作に使用するスイッチは1つだけです。


Heartbeat in the bulb

複雑なのはデバイスの中身だけで、体験者の操作に求めないように設計します。

・試作

試作機は1つの作品を作るにあたり、大体3機くらい試作します。(カサナビもプロトタイプを含めると3体プロトタイプを作っています。)

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ハードウェアのプロトタイピングは一つの修正がすべてに影響しているため電子パーツを一つ変えただけで、回路設計が変わるだけでなく、基板を収めているケースや駆動部の形状の再設計(3DCADの書き直し)、制御プログラムの修正、などが必要になる場合があります。(その結果、試作機が3体くらいになる場合があります。)

・工程管理

すべてが欠けることなく、並行して進める必要があります。

締め切りがある物に関しては、一番時間がかかる物(外部に出すPCBなど)を真っ先に終わらせられるように進めていきます。

ハードウェア イズ ハード という言葉が意味するようにハードウェアを作るのが最も時間を有するので、あとから調整できるプログラミンは一番最後に回すことが多いです。

佳境になると3Dプリンタが作業しているうちに睡眠をとって、できるころに起きて作業をするというような生活リズムになることもあります。

試作にあたって必要となる技術をすべて持ち合わせているわけではありません。 必要なものを調べながら少しずつ自分のできることを広げていきます。

〇作品を世の中に出す

作品は完成をもって完成ではなく、作品の親として、その作品が世界に出ていくところまでを責任をもってやっていく必要があります。

・動画の作成

作品自体が作品ではなく、体験そのものが作品であるのであれば特に動画(その作品を中心としたドラマ)を撮影します。

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動画撮影のために作成した絵コンテ

お遠くに住む会えない人と向かい合ったときだけ会話できる見えない糸で結ばれた糸電話「ミエナイトデンワ」という作品に対しては次のようなドラマを制作しました。

コロナ禍ということもあり、一人で出演、撮影、編集までを行いました。


ミエナイトデンワ Invisible string telephone

カメラや音声機材、照明など、作品よりもお金がかかってしまうところでもあります…。

カメラはフルサイズの一眼レフを使っていますが明るい代わりにボケすぎるのであまりお勧めできません。

音声はカメラマイク使ってもといですが無音でゲインが上がり、ノイズを拾うため、別で音声機材を用意するのがおすすめです。

高いソフト(Adobe Premiere Proなど)を使うことで、自由な字幕の挿入やMAができ、結果的にストレスがないので良いです。

・イベントに出す

世の中にあるイベントや賞レースにエントリーしより多くの人の目に作品が触れるようにします。

私事ですが、サンフランシスコ、シンガポール、深圳(世界のハードウェアの聖地)、上海、台北、日本全国で展示してきました。

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Ogaki Mini Maker Faire 2020での展示の様子

・論文化

学術的な新規性があれば評価実験を行い、学会発表や論文化をする必要があると思います。

これを今後やっていきたいと考えています。

最後に

ここで紹介したやり方は僕がカサネタリウムという名前でこれまで活動してきた結果、落ち着いたやり方です。 とくに、技術スタートではなく、空想や妄想発信で、それを形にするために僕が実験してきた方法です。 10人いたらきっと10人それぞれ違ったやり方、手段があると思います。 物を作らなくても、絵や映像で表現することもできます。 なので、あくまで一例として参考にしてもらえると嬉しいです。 何もないところからプロダクトとを作るのは正直大変ですが、ものづくりを通じて誰かに想いが届いたときの喜びはひとしおです。

If you can image it, you can make it! カサネタリウム 堀洋祐

https://kasanetarium.web.fc2.com

ミエナイトデンワの開発状況について

自己紹介

カサネタリウムという名前で活動しています。 これまでに製作した作品は次のホームページに載せています。

カサネタリウム KASANETARIUM

ミエナイトデンワとは

遠くは離れた所に住む大切な人と向かい合って話ができる、見えない糸で結ばれた糸電話「ミエナイトデンワ」を製作しています。 これは紙コップ型のデバイスで、糸電話を使うときにように紙コップの底と底が空間的に向かい合った状態になった時だけ会話ができます。 そのコンセプトは2014年にはあったのですが、どうやったら実現できるのか、何から手をつけたらいいのかすらわからず、ずっと製作することができませんでした。 別の作品を作りながら開発してきた技術や知識を使うことで今の自分なら製作できる見通しが見えてきたため、現在開発を進めています。

現在の試作状況について

空間的に向かい合ったときだけ会話ができる、見えない糸で結ばれた糸電話というコンセプト自体はシンプルですが、開発すべき要素が多岐にわたるため、要素ごとに分けて試作を行なっています。

今できているのは、空間に仮想的に音源があって、その方向に紙コップを向けと音が聞こえてくるところまでが完成しています。 その動画がデモの様子です。ある方向に向いた時だけ音楽が聞こえてくるのがわかると思います。


ミエナイトデンワ:見えない糸で繋がった糸電話 実験の様子

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ミエナイトデンワ 開発中の写真

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ミエナイトデンワ 開発中の画像(回路側の写真)

ミエナイトデンワの中に内蔵したGPSセンサーで地球上の位置を取得し、地磁気センサー、加速度センサーによって、コップの姿勢情報を得て、仮想的に空間に配置した音源の方向に向いた時だけ音が聞こえてくるようになっています。

この技術の基礎となっているのが2016年に製作した『カサナビ』という作品です。 カサナビは目的の方向へ傘を倒す装置です。この作品で使っているGPSセンサーや地磁気センサーを使った目的地の方向の計算方式を使っています。


カサナビ

今後の予定

ミエナイトデンワを実現するためにはまだまだ開発しなければならない要素技術が多々あります。 その中でも代表的なものを3つあげると以下のようになります。

①2台のミエナイトデンワどおしの位置情報と姿勢情報のやり取り

②通話の実現

③デバイス化に必要な回路設計や形状設計

簡単に各要素について説明します。

①2台のミエナイトデンワどおしの位置情報と姿勢情報のやり取り

バイスどおしが互いの位置情報を知る必要を知ることで向かい合っているかどうかを判断します。それにはGoogleAmazonの提供するクラウドデータベースを活用する予定です。色々なサービスを試していますが、GoogleのFirebaseというサービスが最有力です。マイコン(ESP8266やESP32)のライブラリも公開されており、それを使うことを考えています。

②通話の実現

通話に必要となる音声のやり取りの部分を一から開発することは難しいため、既存の電話回線やLINEなどの通話アプリの音声通話をそのまま利用します。その音声会話をBluetoothを使って紙コップ型デバイスに送ろうと考えています。 その音声を送る方法は既存のデバイスを分解して、ペアリング機能をそのまま取り込む予定です。 もし余裕があれば格安ガラケー(mini R phone)が手に入ったので、分解して通話昨日をハックしたいとかが得ていますが、少々難易度が高そうです。

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③デバイス化に必要な回路設計や形状設計

以上の動作を1マイのマイコン(ESP8266またはESP32)を使って実現したいと考えています。 今はユニバーサル基板に直接半田付けしていますが、KiCadを使って基板化したいと考えています。 ケースについては3Dプリンタを使って設計予定です。

その他

電化製品は高機能化し、便利な方向へ進化してきました。 しかし、ミエナイトデンワは人の感情を揺さぶるというところに焦点を当ていてむしろ不便でです。 これまでにも感情を揺さぶるという観点から電球の中に心拍を保存する装置を製作してきました。 この作品は電球の中に今の心拍を保存しておき、その心拍が電球の明滅として蘇るというものです。


Heartbeat in the bulb

こうした便利な方向ではなく、感情に訴える方向に進化した電化製品があってもいいのではないかと考えています。 こうした感情を揺さぶるような電化製品を今後も作っていきたいと思っています。

手ぬぐいマスクの作り方

手ぬぐいは和柄から、デザイン性に富んだものも多く、手ぬぐいの柄を生かしたマスクを作りたい!と思いませんか。 ところが手ぬぐいを切ったり、縫ったりしてマスクを作ってしまうと、手ぬぐいに戻すことができません。。。 そんな問題を解決すべく、手ぬぐいを切ったり、縫ったりしない、マスクの作り方を考えました。

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こんなマスクを作ります!

準備するもの

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準備するもの 左から手ぬぐい、カーテンフック、マスクひも

  • 手ぬぐい 1枚
  • プラスチックのカーテンフック 4つ (写真のようなもの)
  • マスクひも2本(または着ないTシャツがあれば、作れます!)

マスクひもの作り方

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マスクひもの作り方

  • 着なくなったTシャツや肌着を用意します。
  • 伸びる方を長辺となる様にして2cm×20cmくらいに切ります。
  • 切った後で引っ張ると勝手に丸まって、ちょうどいいテンションのマスクひもができます。2cmの切れ目を入れて一気に裂くと簡単にひもが出来上がります。

カーテンフックの準備

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カーテンフックの準備

  • カーテンフックのトゲをあらかじめニッパやカッターナイフで切っておきます。残しておくと手ぬぐいを傷つける原因となるので落としてしまいましょう。
  • また、カーテンフックのフックの部分はスライドできるので写真の様な形になる様にスライドさせておきます。

手ぬぐいの折り方

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手ぬぐいの折り方

  • 図の様な折り方でちょうど鼻から顎まで覆うことができます。
  • 大きめに折ったり、小さめに折ったりして、顔にあったサイズにすると良いと思います。

カーテンフックの取り付け

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カーテンフックの取り付け1

  • 手ぬぐいの四隅にカーテンフックを取り付けます。
  • カーテンフックの太い口を、手ぬぐいの長辺側から手ぬぐいを挟み込みます。

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カーテンフックの取り付け2

*四隅とも取り付けると、このようになります。

マスクひもの取り付け

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マスクひもの取り付け

  • カーテンフックの小さいフックの方にマスクひもを結びます。
  • マスクの短辺どおしで結びます。

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マスク完成
*写真の様になると完成です!

完成

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マスク着用1
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マスク着用2

  • マスクを実際につけてみて、マスクひもの長さを調整してください。
  • マスクひもは着用するときに取れやすいので、しっかり結ぶと良いと思います。
  • 手ぬぐい1枚を作っているのでやや重いく、息苦しいです。。。

さいごに

  • 3Dプリンターやミシンなどの道具を使わず、誰でも簡単に作れる方法を考えました。そこでカーテンフックに行き着きました。
  • 手ぬぐい好きな人、手ぬぐい柄のマスクが欲しいけど手ぬぐいを加工したくない人に使ってもらえるといいなと思います。
  • ちょっとそこまで出かけたいけど、使い捨てマスクがないときなどにためしてみてください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

歯ぎしりを改善する装置

この記事はIoTLT Advent Calendar 2018 neoの12月9日の記事です。

自己紹介

カサネタリウムという名前で活動しています。

作品はこちのホームページに掲載していますので、見てみてください。

(目的地の方向に傘を倒す装置「カサナビ」などを作りました。)

 

現在、歯ぎしりを改善する装置を開発中です。

今回のAdvant Calendarにはそのことついて書きました。

まだまだ開発段階の物ですので、記事を読んで一緒に作りたい!という方がいましたら、ぜひお声がけください。

 

歯ぎしりとは

歯ぎしりとは睡眠中に歯を横にすり合わせたり、強く食いしばったりする現象である。歯ぎしりは周りを不快にするだけでなく、歯がすり減り、知覚過敏を引き起こす原因の一つとも言われている。

 

歯ぎしりの対策

「歯ぎしり 原因」、「歯ぎしり 対策」と検索すると、多くの場合、「ストレス」という答えが返ってくる。歯ぎしりを治すにはストレスコントロールが必要のようだ。ストレス社会に生きる我々現代人がストレスから解放された生活を送るなど、到底無理な話である。

現在、歯医者に行くと、歯ぎしりの対策として「マウスピース」をつけて寝るように進められる。これは歯ぎしりによって歯が削れる代わりにマウスピースが削れるというものである。すなわち歯ぎしりを治す根本的な解決方法ではないのだ。現に私も毎晩マウスピースを着用して寝ている。

今回、ものづくり(Maker)の観点から歯ぎしりの対策を考えた。

 

Maker的な歯ぎしりを改善方法

歯ぎしりの原因をなくすことはのは医師でも難しいことであり、Makerでも無理だろう。そこで歯ぎしりは起こるものとして、その歯ぎしりを検知して、歯ぎしりを抑制する方法を考えた。

 

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①歯ぎしりの検知 

まずマウスピースの中に感圧センサーを仕込み、噛む力を物理的に取得する方法を検討した。

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(写真は市販のLEDが内蔵されたマウスピース。検討段階で購入した。)

 

しかし歯ぎしりの力でセンサーごと噛み砕いてしまいかねない。(歯ぎしりにかかる力は体重の2倍とも、数tとも書かれており、口の中にデバイスを入れた場合、本当に砕きかねない。)

そこで、物理的に力がかからない方法として筋電センサーを用いることにした。

筋電センサーのイメージは次の通りだ。筋肉は脳からの電気信号を受けて収縮する。その信号をセンサーで取得する。

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まず、筋電を簡単に取得できるか実験してみた。

動画のように筋肉に力を入れているところを簡単に可視化することができた。

 

筋電センサにはMyoWareを使用した。筋電をマイコンを使って簡単に取り出すことができる。(筋電の生データだけでなく、整流してとても扱いやすい信号としても取り出せる。元々はKickstarterで出資を募っていたものだが、今ではスイッチサイエンスから簡単に購入できる。)

動作確認には筋電センサからの信号か簡単に見えるように液晶がついた2018年の話題のマイコンM5Stackを使用した。また今回信号を表示するために作ったプログラムはGitHubに上げている。

github.com

 

次にこの筋電センサMyoWareで噛む力を取得できるか実験した(次の動画)。

噛む動作とLEDの表示に注目してほしい。

頬につけた筋電センサによって噛む動作を電子信号として取得できた。

 

(自分の顔のアップの画に絶えられずサングラスをして撮影したところ、謎のサイバーパンク感がでてしまし、「筋電センサーに集中できない」という意見をいただいてしまった。噛む動作とLEDの光に注目してほしい…)

 

(※撮影に当たってマウスピースを着用して実験しています。歯を傷つけることになりますので真似しないでください。 )

 

ここまでで筋電センサ(MyoWare)とマイコン(M5Stack)を使って歯ぎしりの検出ができることがわかった。

②歯ぎしりを止める(抑制)

筋肉は脳からの電気信号を受けて収縮する。ということは筋肉に電気信号を入れてやれば、筋肉は収縮させることができる。

すなわち、歯ぎしりを検知したら、顎が開く筋肉に電気信号を与えて、無理やり口を開いてやれば歯ぎしりが止まるに違いない。

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(だんだんマッドサイエンスな感じになってきたような。)

 

では、口を開く筋肉はどこにあるか。調べると、顎を開く筋肉は首の中にあることがわかった。

これは困った。組みは脳と全身を繋ぐ幹であり、様々な神経が通っている。そこに電気信号を素人が入れることは大変危険である。 

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筋肉に電流を流して口を開けるという方法は諦めざるを得ない。

色々は方法を調査・検討した結果、リラックスさせるツボを押すことにした。

 

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(手首の付け根にある「内関」というツボのリラックス効果を活用して…。)

 

ツボを押すパーツは3D CADソフト(Fusion360)を使ってを設計し、3Dプリンタを使って出力した。サーボモーターを使ってツボを押す。

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全体の系統

全体の系統を次の図で示す。 

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実際の動作が次の動画である。(動画では腕の筋肉の信号を使ってツボを押すモーターを制御している。)

 

夜間の歯ぎしりの発生状況の確認

この装置に夜間の歯ぎしりの状況を記録しておく機能を追加していく。

色々検討した結果、AmbientというIoTデータの可視化サービスを利用することにした。

マイコンに接続したセンサーの数値のデータを、インターネットを経由してグラフ化して見ることができる。無料でしかも簡単に利用できる。

またM5Stackから利用するライブラリや使い方もこちらのページに公開されている。

そのページを参考にしながら、Ambientのアカウントを作り、適当な数値データをAmbientサーバに投げてみた。

以下の図のグラフのように、簡単にデータログをサーバに作り、グラフとして確認することができた。今後、筋電センサから取得する歯ぎしりの数値データをAmbientに送り、睡眠時間中の歯ぎしりの状態を確認して行こうと思う。

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最後に

装置はできたものの

  • モータまでの配線などが寝ている間に首に巻きつく危険性がある
  • ツボを押すのが最善の方法と言えない
  • 基板がむき出しのため、ケースなどの工夫が必要

など、まだまだ改善の余地があります。

Maker Faire Tokyo 2018でも展示したところ、「実は私もマウスピースつけて寝てます」、「完成したら買います」など、実は多くの方が歯ぎしりに悩みを抱えていることを知りました。多くの人の応えるためにも、今後も歯ぎしりを改善する装置の開発を進めていきたいと思います

ABPro2018で発表してきました。

9月8日(金)にABPro2018 @ 明治大学で発表してきました
 
このイベントは明治大学の宮下先生の学生が中心となって運営されているアブノーマルなプログラミングの発表会。ソフトウエアでもハードウエアは問わず、「人を驚かせ,笑わせ,幸せにするようなプログラム」であればなんでもO.K.。
 
僕は2016年から参加してことして3年目!
今年は事前の枠と終わった後のおかわり(飛び入り)合わせて次の2つを発表してきました。
「電球に心拍を保存する装置」
「歯ぎしりを"ものづくり"でなんとかしたい話(飛び入り)」

どの発表も常識に問われない面白いアイデア(飛躍がるものも)とそれを実装して形にしてしまう技術力と根性。毎度のことながらとても楽しかったです。
 
イベントの様子はtogetterでまとめてくださっているのでぜひ見てみてください。
 

はんだ「こて台」と「クリーナー」を購入

Maker Faire Tokyo 2018 へ出展者として参加して来ました。

Maker Faire  Tokyo は新製品だったり、自分へのお土産を買うのも楽しみの一つ。

今回はHAKKO ブースでハンダごて用の「こて台」と「クリーナー」を買いました。

これまで使っていた「こて台」はネジが緩んで来ると立てていたハンダごて倒れて危険な状態になっていたのでそろそろ変えたかったということもあり、会場特価で販売していたので買ってしまいました。

「こて台」にぴったいあう水を使わない「クリーナー」も購入。

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あとHAKKOの女性社員のプロジェクト「はんだづけ小町」の可愛い「はんだづけマット」を購入しました。

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シリコン製で作業台(机)をはんだごての熱から守ってくれます。これまではベニヤ板などを敷いて半田付けをしていたのですが、これならはんだごてセット一式と一緒に巻いて保管しておけそう。また色々あるシリコンマットの中でちょうどいい大きさというのも購入の決め手でした。これから心機一転、半田付けをして行きたいと思います。

・こて台(HAKKO No.FH300-81)

・クリーナー (HAKKO No.599B)

・シリコンミニ作業マット