カサネタリウムの日記 -Kasa Date 傘立て-

カサネタリウムの活動を中心に記事にしていきます

Maker Faire Kyoto 2023に出展しました

はじめに

2023年4月29日(土)、30(日)にけいはんなオープンイノベーションセンター(KICK)で開催されたMaker Faire Kyoto 2023に出展してきました。

makezine.jp

Maker Faire とは世界中で開催されているものづくりの祭典です。個人や団体が作ったものを展示し、来場者や他の出展者と交流するイベントです。 日本ではMaker Faire Kyoto の他にMaker Faire TokyoやOgaki Mini Maker FaireSendai Micro Maker Faireなどが開催されています。

Maker Faire Kyoto は新型コロナウィルス感染拡大の影響で2019年の開催以来、オンラインや小規模の開催(Maker Meeting for Maker Faire Kyoto)となっており、Maker Faire Kyotoとしてオンサイトでの開催は4年ぶりです。今回、このMaker Faire Kyoto 2023に出展することができました。

展示内容

Maker Faire Kyoto 2023の展示の紹介していきます。 まず、私のブースの紹介です。展示内容はMaker Faire Kyoto 2023の公式ページの出展者紹介ページに掲載されています。

カサネタリウム | Maker Faire Kyoto 2023 | Make: Japan

このような形で展示しました。

今回、展示した作品は次の3つと展示パネル1枚です。

  • 折り紙式メディアデバイス ORIME
  • EMOji(絵文字)マスク
  • 化ける!きつね面
  • これまでのカサネタリウム Whole kasanetarium Catalog

折り紙式メディアデバイス ORIME

ORIMEは、折り紙のように折り曲げたり切ったりすることで自由な形を作ることができる折り紙のようなデバイスです。ORIMEを身の回りのものに取り付けることで、そのものをメディア化(入力と出力を持った情報媒体)にすることができます。詳細な情報については別途記事にする予定ですので少々お待ちください。こちらは総務省の異能vation2021「破壊的な挑戦部門」の支援を受けて開発しました。

EMOji(絵文字)マスク

マスクに絵文字の下半部を表示することで、マスクで隠れてしまった表情や口の動きを擬似的に表示して、コミュニケーションの手助けをしてくれるマスクです。 emoji(絵文字)でEmotion(感情)を伝えるマスクということで「EMOji(絵文字)マスク」という作品名にしています。

化ける!きつね面

LEDを530個使うことで表情を自由に変えることができる狐面です。元々2019年にMaker Faireが初めて京都で開催される際に、京都らしい作品として製作しました。 目をハートにして、「いいね!」を表現したり、口を動かすことで喋っているように見せるなど、コミュニケーションを取れるように改良しました。 大量のLEDを使用しているため製作当初は展示中に頻繁に断線を繰り返していました。 Maker Faireでははんだごてを使って修理ができるブースが決まっており、毎回、HAKKOさんが提供してくださっている修理ブースで修理させてもらっていました。 今回、きつね面を展示していたところ、HAKKOの方が見にきてくださって、過去のMaker Faire Tokyoで何度も修理にきていたことを覚えていてくださりました。 HAKKOさんのおかげもあり、弱い箇所が徐々に少なくなり、現在では安定して展示ができるようになりました。

これまでのカサネタリウム Whole kasanetarium Catalog

ものづくりをしていると、作品で覚えていただいたいる場合が多くあります。 私の場合いろいろな作品を作ってきたため、「もしかして過去に〇〇を展示していた人ですか?」「あの作品を作られた方ですか?」と聞かれることが多々あります。 今回、過去の作品がわかるように(何を作っている人かわからない問題を解決するために)、Whole Earth Catalogならぬ、Whole kasanetarium Catalog(パネル)を作り、ブースに展示しました。 過去の作品を知っていてくださる方と出会いや、「この作品は展示が少なかったので、あのとき見れてよかったです。」といった会話のきっかけとなりました。 今後も、過去の作品やこれから作っていく作品をどのように展開していくか、考えていきたいと思います。

みなさんの展示

私以外の出展者の方の展示です。Maker Faire Kyoto 2023は本当に多くの方に足を運んでいただきました。その結果、ほとんどブースにいたため、イベント開始前の時間やお昼休憩の合間にほんの少しだけ他の方のブースを見てきました。ほんの一部になりますが、Maker Faire Kyoto 2023の様子が伝わればと思います。(主にツイッターで投稿した内容を貼り付けています。)

Maker Faire Kyoto 2023 会場の様子

会期中、雨も降ったのですが、本当に多くの方が足を運んでくださいました。

3Dプリンタで作った陶器の展示

GANGU〜さんの射式ゴム鉄砲の展示

体験させてもらいましたが、的が飛び上がるジャンピング的は本当に爽快でした。

すいラボさんのブース

FARMTORY-LABさんの3Dプリンタで作った靴下編み機

ULTRA FACTORYさんの自作ガチャポン

タニウラトモフミさんのサーキットベンディングの展示

柊工房さんの展示

今回お隣だった柊工房さんの展示。空中配線LED時計はうちの机で使っています。

惑星発見器

ハギテックさんの大面積ペンプロッタ

7n3tfiさんの3Dプリンタで作ったレコードプレイヤー

カズヤシバタさんの展示

ひげだるまさんの論理演算式コントローラの展示

Kotomania

初めて琴を演奏できました。とても面白かったです。

BLDC手作り部さんの手作りステッピングモータ

通路を挟んでお向かいさんのブース。ステッピングモータを自作するという脅威の展示でした!

いしかわきょーすけさんのペンプロッタの展示

2014年からの歴代のペンプロッタが一度に見られるまたとない展示でした!

airpocketさん のゼンマイ式のカメラをデジタル化した作品

一瀬さんのボール型ロボットomicroと複合現実の展示

一瀬さんとはNT金沢2023でも一緒に展示予定です!

チェコ3Dプリンタメーカー RPUSAの展示

原田さんのマーブルマシンの展示

えくすとさんのオムニホイルの展示

ヒゲキタさんの展示

コロナ禍で展示ができなかったプラネタリウムがついに復活していました。

パスコンパスさんのメカニカニの展示

その他の展示

今回紹介した作品はMaker Faire Kyoto 2023のほんの一部の展示です。見たけど紹介できていない展示、動画や写真を撮り逃した展示、時間の都合で見に行けなかった展示など、 本当に多くの作品が展示されていました。次回はMaker Faire Tokyo 2023が東京ビッグサイトで10/14、15に開催される予定です。

おわりに

今回の展示を通じて、ORIMEをどのようにして世の中に出していくか、過去の作品をどのように紹介していくか(アーカイブしていくか)など、作品の展開方法を考えるきっかけになりました。過去の作品についてはパネル展示をしてみましたが、今後もいろいろな方法を試していきたいです。

Maker Faire Kyoto 2023への出展を通じて多くの方に作品を見ていただくことができました。 お客さんをはじめ出展者の皆さんと交流でき、本当に幸せな2日間でした。

お越しくださったお客さん、出展者の皆さん、そして運営の皆さん。本当にありがとうございました。

また次のイベントでも出展できればと考えています。

NT金沢2022 に参加しました!(自分や、他の方の作品紹介)

はじめに

6月18日(土〜6月19日(日)に金沢駅地下広場で開催されたものづくりイベントNT金沢2022に参加してきました。

@create_clockこと、まえこっかくのSUZUKIさんに声をかけていただいて共同出展という形で 展示させていただきました。

オンサイト(物理イベント)で最後に展示したのは2020年12月5日(土)、6日(日)に岐阜県大垣市で開催された Ogaki Mini Maker Faire 2020以来ですので、 約1年半ぶりの作品展示でした。

展示した作品

今回は絵文字(emoji)で感情(emotion)を伝えるマスク、「EMOjiマスク」をメインに、LEDで表情が変わるキツネのお面「化ける!きつね面」を展示しました。 また、これまでに金沢で展示したことがなかった遠隔地の人とも向かい合った時だけ会話できる「ミエナイトデンワ」も展示しました。 いつものことですが、トランクいっぱいにして展示してきました。


www.youtube.com

それぞれ作品のリンクはこちら

他の方の作品紹介

いつもであれば、自分の作品展示ほどほどに、他のブースも廻るのですが (自分の展示をそっちのけで廻りすぎて、「カサネタ(堀)さんはブースにいない」と苦情を受けることも多々…。)、 今回はほとんどブースに張り付いていました。なので他の方の作品もあまり見れなかったのですが、それでも 見れた作品を紹介します!

タチコマ

会場で一際目を引いたのが、このタチコマです。人が乗って走行することもでき、1日目の終了後に実際に会場を走らせていました。 脳内で「バトーさん」が何度も再生されます。

ネコビットさんの自動演奏

MIDIを使った自動演奏に加えて、今回はインスタコードを引くと連動したクラッピーで演奏に参加できるギミックが追加されていました。 展示の数日前に思いついて実装したんだとか。演奏に加わっている感が得られてとても楽しかったです。 また、他の人の作品をその場でコラボしていく様子は、個人的にNTらしさを感じてしまいました。

JA1TYEさんのESP32をつかったボイスチェンジャーなど

ESP32を使って、声を変えるボイスチェンジャーをはじめ、音を扱った作品が展示されていました。 声を高くしたり、低くする場合は周波数を変えることになるため、違和感なく周波数を変えるための工夫(周波数を低くする場合は同じ高さの音を違和感なく繰り返し入れるなど)をしているという話が とても興味深かったです。

シン・マエコッカク

まえこっかくのSUZUKIさんの前骨格ロボットが手をクロスすると、スペシウム光線シャボン玉を出せるように進化していました。 子供に大人気でした。

まえこっかくのSUZUKIさんといえば、前骨格ロボットも有名なのですが、ブース展示もいつも面白いんですよね。 今回は、子供の頃に遊んだ「ガリガリプロペラ」(僕の地元ではゴリゴリゴマという名前だったような)を振動モーターを使うことで 誰でも簡単に回せるという展示をしていました。(後で動画を撮らせてくださいねと言いながら忘れていたので、本人のツイートから)

ZANGI BRONICA

かさあげさんの中判カメラをデジカメ化するプロジェクトの一つ。撮影例が展示されていましたが、なんとも言えない味わい深い写真が撮れていて、ロマンですね。 最近、カメラを新調して、個人的にカメラブームなところもあって、こういう方法のものづくりもやってみたい気持ちが沸いてきてしまいました…。

糸のない糸電話型

ryu_sakuraさんの糸のない糸電話の展示。 糸の代わりに光の明滅で音を伝えることで糸がない糸電話を実現していました。 紙コップの裏に貼った圧電素子で声の振動を光の明滅に変えて声をおくり、反対側の糸電話では光のセンサーを使って光の明滅となった声の信号を受け取り 圧電素子を振動させて、音を再生するという原理でした。 音を拾うのも、再生するのも圧電素子を使ってうまくいっているということでした。 原理的にも、とても面白い作品でした。 キットをしてワークショップもやられているようで、「キットあったら、作りたいです。」とお願いしてしまいました笑 ブースにいたところ「私も糸のない糸電話を作っているんですよ!」と声をかけてくださいました。

原理は同じのヒカリハンドベルもとても面白かったです。

ノギス型電圧チェッカー

かこさんの作品。ノギスで電池を挟む絵はドキッとしてしまいますが、こちらはテスターですのでご安心を。 通常のXYのマトリックスではなく、三相型にすることでRGBのLEDを駆動させる展示もとても面白かったです。 回路の形状、どうしても次のマトリックスが斜めにずれていくんだとか…。 話だけでは理解できなかった部分もあったので、同人誌をBoothで買って勉強します! (まだ届いていないので、届くのが楽しみです。)

et-cetera-lab.booth.pm

うちのシロ

出前プラネタリウムでお馴染みのヒゲキタさんのうちのシロ。 尻尾を左右に揺らしながら、のっしのっしと会場を闊歩していました。 背中に乗っているのは風船でなんでも作れる大道芸人のうーさんの作品だそうです。

Omicro

ichiseさんのボール型ロボットOmicroの展示。 twitterで投稿されていたARのomicoを見せていただきました。 ARのOmicoと物理のOmiocoが相互に影響しあう話、面白かったです。

コスプレの方々

本格的なコスプレをしている方が会場を盛り上げていました!

見落としていて悔しかった作品たち

帰って、#NT金沢 のツイートを全部見たのですが、完全に見落としていて、悔しい思いをした作品…。 他の方のツイートを引用させていただきます。 (1日目の夜に復習すればよかったと後悔しています。)

Timer 555 Circuit sculpture

タイマーIC 555を使ってLEDを光らせる、空中配線の作品。 点滅の周期を変える抵抗の部分はハンダ付けしておらず、載せ替えることができるとのこと。 実はからあげさんのカメラの隣にあり、自分の撮った写真にも写っているのに、見落としていました…。 悔しい…。

protopedia.net

RewindTimeClock

あおいさやさんの時間を5分だけ戻すことができる時計。 ただ戻すだけでなく、その後で少し早めに針を動かすことで(1分を59秒で回していくことで)、5時間かけて元の時間に戻るそうです。

GreenPAKという回路をソフトウエアで書き換えられるIC(私もよく理解していないのですが興味あり)を使っているそうで、 その辺の話も詳しく聞きたかったです…。

あおいさんとはよく挨拶している方で、1日目の展示終了後に「明日行きます!」と言いながら、行けなかったことを後悔…。 次のイベントで観れるといいなと思います。

yukima0707さんのmicro bitを振ると回転するコマ。 toioがコマを回転させているようです。 こういうインタラクティブな作品好きです。 こちらも、展示されていることを知っていて、ブースに行けなかった…。

360°映像を撮ってみた!

insta360 one を持って行っていたので、NT金沢2022全体の様子を撮影してみました。 通り過ぎるだけなのと、画質もそんなによくないので、雰囲気が伝わればと思います!


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品モノラジオ #058

品モノラジオ#058にゲスト出演して、NT金沢の話をしました。 久々の展示で感じたことなどを中心にお話ししました。 もしよければ聞いてみてください!


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「ミエナイトデンワ:遠隔地にいる相手の存在を感じながら音声通話できる糸電話型デバイスの提案」を EC2021で発表しました。

2021年8月30日(月)〜9月1日(水)にオンライン(zoon)で開催されたエンターテイメントコンピューティング2021で 「ミエナイトデンワ:遠隔地にいる相手の存在を感じながら音声通話できる糸電話型デバイスの提案」を発表しました。

発表スライド

ミエナイトデンワの紹介動画


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予稿論文

情報学広場:情報処理学会電子図書館

参考リンク

EC2021 Webサイト
エンタテインメントコンピューティング2021 Official Website

EC2021 プログラム
ec2021

発表の経緯

今回私はプライベートのMaker(ものづくり)活動の中で開発した『ミエナイトデンワ』について報告しました。 プライベートの活動ということもあり私は無所属で、共著に北海道情報大学の湯村先生に共著に入っていただきました。

どうして学会発表を目指したのか

学会発表というと大学や企業での研究成果を報告する場というイメージがあると思います。 私もそのイメージでした。

発表のきっかけは2020年の夏に遡ります。 それまでは仕事の中で職業研究者として研究をしたり、学会などで発表する機会があったのですが、 2020年の夏の異動を期に仕事では研究分野から離れることになりました。 仕事としては研究を離れることとなりましたが、どこかで研究というものにつながっていたいという思いがありました。

一方で私はこれまでカサネタリウムという名前でMaker活動をおよそ10年続けてきました。 趣味で始めた活動ですが、その中で自分が取り組んできたこと、作ってきた物を通じて、 研究や学会という物に関わっていくことができないかと考えるようになっていました。

そんな中、転機となったのは2020年12月に開催されたOgaki Mini Maker Faire 2020の会場で湯村さんにお会いしたことでした。 湯村さんはその年に働きながら博士号を取得されタイミングでした。 湯村さんは理学のバックグラウンドを持ち、現在はヒューマンインターフェースや情報の研究をされていました。 私は大学や仕事では理学を専門としていた対して、Maker活動では工学(ヒューマンインターフェース)に興味を持って活動してきました。 そういった点からも、湯村さんに相談したいと考えていました。

上記のことを相談したところ、湯村さん自身もメイカー活動と研究について興味があるということで、その後もチャットやzoomなどで相談に乗っていただけることになりました。 その中で目標として、2021年8月末に開催される情報処理学会の研究会である、エンターテイメントコンピューティング2021での報告と 論文執筆を目指すことにしました。

エンターテイメントコンピューティングは「計算処理により「娯楽」「楽しみ」や「遊び」を創造する研究分野」と紹介されており、 過去の発表を見てもゲームから遊び、ヒューマンインターフェース、AR/VRなど幅広い報告がされていました。 自分の興味関心のある発表も報告されており、この学会での発表したいと思ったということあります。

発表にあたり、湯村さんには共著という形で論文の執筆から発表スライド作成に至るまで、ご指導いただきました。 特に論文の執筆中(6月上旬から7月末まで)からは週1回の間隔でzoomを使いながら打合せ(論文の書き方、方針などの相談)や論文の執筆や修正をおこなっていきました。 湯村さんも4月から北海道情報大学の先生になられたばかりで授業の準備や研究室の立ち上げで忙しい中、相談に乗っていただききました。

予稿論文執筆

発表にあたり特に時間をかけておこなった予稿論文執筆について記載します。 発表スライドについても時間はかかりましたが、予稿論文で流れができていたため その流れに沿って、スライドを作成しました。

予稿論文のページ数

学会発表には予稿論文が必要になります。 エンターテイメントコンピューティング2021では

  • 口頭発表(ロング) 原稿6〜10ページ
  • 口頭発表(ショート) 原稿2〜6ページ
  • デモ発表 原稿2〜6ページ

というふうに原稿のページ数が決まっています。 私は口頭発表(ロング)を目指すことにしたため、原稿6〜10ページの原稿が必要になります。

関連研究の調査

論文執筆にあたり、自分の取り組んだこと(研究)の新規性はどこにあるのかを述べる必要があります。 Maker活動では「なんとなく他の人がやっていないことだろう」という形で作ることがほとんどですが、 学会発表では

  • 自分が取り組んだ分野はどこか
  • その分野でこれまでにどのような取り組みがなされてきたか
  • まだ解決されていない課題(自分が解決しようとした課題)は何か
  • その課題に対してどのように取り組んだか

をきちんと整理し述べる必要があります。 今回報告した分野は自分にとってはこれまでに報告したことがない新しい分野であったため、どこから手をつけて良いものか…という状態でした。 湯村さんとも相談しつつ、まずは自分の取り組みに近い分野を選び、論文を読んでいきました。

まずミエナイトデンワが実現したいことや、解決したい課題から見えてきた要素から

  • 遠隔地の相手の存在をそれとなく視覚的に感じさせるデバイスとしてアンビエントディスプレイの研究事例
  • 会話以外に行為を伴うテレイグジスタンスの研究事例
  • 遠隔地の相手と向かい合うデバイス

について、先行研究を調査していきました。 論文検索は「Google Scholar」を使って検索していきました。 読んだ論文は落合陽一先生の「論文まとめフォーマット」に倣って要約し、ストックしていきました。 論文をまとめておくことで、いざ論文を執筆するとき、要約から各研究を自分の言葉で説明することができるので、大変役立ちました。 lafrenze.hatenablog.com

論文を調べていくうちに、初めての分野であっても、脈々と先人から先人へと受け継がれる研究分野の流れが少しずつ見えてくることができました。 そして、その流れの中で自分がどこにいて、どこを目指そうとしていたのかが整理されていくことを体感しました。 湯村さんが「論文を読むことは地図を書くこと」といっていましたが、本当にその通りだと思いました。 今自分がどこにいるのかを知ることは、自分の興味がどこにあるかを知ること、そして、次に何をしたいかを知ることにも繋がっていくように思います。 論文を読むことで、その分野の論文の書き方(論文構成)を把握することができました。

システム設計、実装部分の執筆

バイスのシステム設計、実装についてはMaker活動の中の取り組みがそのまま活かせるため、論文執筆においても書きやすい部分でした。 論文を執筆に向けて、4月頃に自分のWebサイト向けにミエナイトデンワに用いた技術や図を整理しておき、論文執筆においてもそれらを活用しました。 https://kasanetarium.web.fc2.com/work/InvisivleStringTelephone/index.html

論文にするにあたり、課題に対してどのようにシステム設計し実装していったのかを丁寧に詳細を記載しました。

評価部分の執筆

評価については、これまでにイベントで展示した際に体験者からいただいた感想をもとに、解決したい課題をミエナイトデンワが 解決出来ているか、について議論しました。 また体験者の意見をもとに、今後の展開についても議論しました。

被験者を使った評価実験を今後実施できればと考えています。Maker活動の中でやるとしてもある程度お金をかけて被験者をお願いする必要があるのかもしれません。

論文執筆に使ったツール

論文はオンラインLaTexエディタOverleafを使って執筆していきました。 湯村さんと執筆中の論文を共有して共同編集していきました。

Overleaf, オンラインLaTeXエディター

LaTexでの論文執筆は学生以来で、その頃はコンピュータ上での環境構築などでかなり苦労した記憶があったのですが、 Overleafはブラウザさえあればすぐに執筆を始めることができる大変便利なツールでした。

学会に参加して

今回、学会で報告することで、多くの研究者の方々から自分の取り組みについて議論していただき、コメントをいただくことができました。 普段のMaker活動においても新規性は意識しますが、開発した動機や思いは頭の中にはあっても、それを整理(過去の先人たちの成果も含めて課題に対してどのようにアプローチしたか)したことがありませんでした。学会発表を通じて自分が何をしたかったのか、これかな何をして行きたいのかを整理するきっかけにもなしました。 何より研究者の方に私の取り組みを知っていただくことができて本当によかったです。

これまでのMaker活動では、アイデアを形にし、動画にし、Webサイト、SNSで公開という形で世にでしてきました。 今回、学会発表と予稿論文という形で自分の取り組みを他の人が参照できる形で世の中に残すことができました。 私のMakerとしての活動と研究や学会との関わり方について、今後も考えていきたいと思います。

最後に

昼間は働きながら夜や土日に論文を読み、予稿論文を執筆する…という作業は正直大変でした。 それでも提出間際になると「もう書けないのか」と思うと寂しいような気持ちににもなりました。 大変ではありましたが、とても楽しいやりがいのある日々を過ごすことができました。

湯村さんには発表のきっかけをくさっただけでなく、予稿論文執筆から学会発表に至るまで、平日の夜や休日を割いてご指導いただきました。 最終的に9.5ページになった予行原稿をは、湯村さんのサポートがなければ最後まで書き切ることはできなかったと思います。 この場を借りて感謝申し上げます。

Maker Faire Kyoto 2021 (オンライン)に出展しました。

Maker Faire Kyoto 2021が5/1(土)、5/2(日)に京都にて開催予定だったのですが、コロナウィルスの感染拡大もあって昨年に続き、オンラインイベントとしての開催となりました。

オンラインのMaker Faire Kyoto 2021の作品展示は、カテゴリごとに5/1(土)の以下の指定時間に「#MFKyoto2021」と「#作品発表」をつけてtwitterでつぶやくというものでした。

13:00-13:30 「キッズ」「教育」「メイキーペーパークラフト

13:30-14:00 「FOOD」「京都」

14:00-14:30 「デザイン」「クラフト」「アート」「FAB」

14:30-15:00 「モビリティ」「ロボティクス」

15:00-15:30 「エレクトロニクス」「ミュージック」

私はtwitterに加えてGatherというサービスを使ってオンライン上にブースを構えて展示しました。

Gatherでの展示

omicroを開発している一瀬さんに紹介していただいたサービスです。 なつかしいRPGのような画面を自由に作って、近くにいる人とだけWeb会議できるというちょっと変わったサービスです。 ダンジョン(ステージ)を自由に作ることができるので、机とホワイトボードを並べて自分の展示スペースを作りました。

各展示の前でxボタンを押すと作品の説明ページが見れたり、関連動画が再生されるようにしました。 また自分も在廊中はお客さんと直接話すことができます。

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Gatherで作った自分のブースの様子

途中で知り合いと本当に雑談していました笑

こちらをクリックするとMaker Faire Kyoto 2021 の僕のブースに入ることができます。 個展のようにしばらくそのままにしていますので、ぜひ遊びに来てください。 たまに私も在廊しているかもしれません。その際は気軽に声をかけてみてください。

gather.town

展示会場の上の入り口でEnterキーを押すと、Maker Faire でよく見かける歩くガイコツこと、前骨格ロボットの鈴木さんの作ったGatherページにワープできます!

twitterでの展示

twitterでの展示では次の作品たちを投稿しました。

ツイッターでの作品投稿で失敗したなぁと思っているがあります。 それはYouTubeの動画は1クリックしないと再生されないため、すぐに再生されるtwitterへ直接アップした動画やGIFアニメーションに比べると見ずに飛ばされる可能性が高いということです。 私自身、他の方の投稿のうち、YouTube動画は後回しにしがちでした。 私の投稿のうち半分がYouTube動画になっていました…。

YouTubeで動画を紹介したい場合でも、一旦Twitterのタイムライン上ですぐに再生される形の動画を投稿し、それにコメントする形で動画を投稿すると良いと思います。次回はそうします…。

その他

一瀬さんがまとめてくださったMaker Faire Kyoto 2021 に関するページをまとめたscrapboxがありますので、リンクを貼っておきます。

scrapbox.io

ホンマでっか!?TVに出演しました。

2021年4月28日(水)のホンマでっか!?TVへ出演しました。

最新技術を使った次世代アイテムを開発する開発者を呼んで、そのアイテムを体験するという「次世代アイテム体験会」と言うコーナーで「ナビしてくれる傘」こと「カサナビ」を紹介させていただきました。

※カサナビとは目的地の方向に傘が倒れて道案内する、ドラえもんのたずね人ステッキを具現化したアイテムです。

出演したときの様子です。

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出演したときの様子1

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出演したときの様子2

放送ではブラックマヨネーズの吉田さんが実際にカサナビを体験していただきました。 カサナビを立てて、目的地(収録では収録したスタジオの最寄り駅)の方向に傘が倒れること実験しました。

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ブラックマヨネーズの吉田さんに体験していただきました。

傘が倒れると、スタジオが笑いに包まれました。説明の時点から明石家さんま さんをはじめ、加藤綾子さん、ブラックマヨネーズさん、EXITさん、磯野貴理子さんなど出演者の皆さんにたくさん笑っていただきました。

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傘が倒れるのを見たさんまさん。たくさん笑っていただきました。

全国放送ということもあり、地元の両親や友達、メイカー仲間の皆さんから「見たよ!」と連絡をいただきました。また「カサナビ」を初めて見た方からもSNSを通じてコメントをいただきました。本当に貴重な機会をいただくことができました。フジテレビ、ホンマでっか!?TVスタッフの皆さん、ご覧いただいたみなさん、ありがとうございました。

放送ではカットされていましたが、さんまさんに「こんなの個人でつくっとるんやなぁ、すごいなぁ」と言っていただけたのが、とても嬉しかったです!

カサナビの製作に至った背景や技術の詳細については以下のページに載せています。 ご覧いただけますと幸いです。

kasanetarium.web.fc2.com

こぼれ話

放送では「ドラえもんひみつ道具に「たずね人ステッキ」を具現化した」と言うことで、終始ドラえもんのテーマソングや効果音が流れていて、ドラえもん好きとしては嬉しい限りでした。

ちなみにスタジオ(屋内)では宇宙からのGPS情報の電波が受信できないため、収録時はスタジオのGPS情報をカサナビに入れることで、その問題を回避しています。また最後に受信したGPS情報をカサナビを制御するマイコンの不揮発性メモリに保存しておくことで、屋内でも最後の情報を現在地点として、計算することができます。 実はそれよりも問題だったのが、北を示す地磁気がスタジオで受信できるかどうかの方でした。ただでさえ照明や撮影機材など、磁場を発生させるものがたくさんあり…。アルゴリズムで回避できないか放送直前まで控え室でコードと睨めっこしていました。本番はうまく目的地の方向へ傘が倒れてくれて、ほっとしています。

iPod photo (第4世代)と他人の思い出

ホイールをカリカリ言わせながら曲を選択するiPodの第4世代”iPod Photo”。 前面の白いフォルムタッチホイールと液晶のバランス、背面のピカピカに磨かれた金属光沢。 2004〜2005年頃に発売されていたiPodは憧れの的だった。しかし、当時学生だった僕にとっては高額で買うことはできなかった。

今ならメルカリで格安で売られている。 それを改造してみよう(その身はiPodのままで中身を入れ替えて面白いものを作ろう)と思い切って購入してみた。

購入したiPod photo は20Gで2,000円台で手に入れることができた。動作は未確認ということだが、どうせ改造する目的なので壊れていてもいいと思った。

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購入したiPod 第4世代 (iPod photo)

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購入したiPod 第4世代 (iPod photo) の背面。この光沢がかっこいい!

届くとすぐに電源ケーブルをさして充電して起動してみた。Appleのりんごのマークが出てメニューが表示され、メニューが表示されるが、HDDが回転を始めるとすぐに落ちてしまう。それを無限に繰り返す…。壊れているじゃないか!

多分、電源が不安定で、駆動部であるHDD(ハードディスクドライブ)のモーターが回り始めたところで、電圧が不足して落ちているのだろうと予想した。 改造目的なので、修理する必要はないのだが、こいつを元に戻してやりたくなった。

まずiPodを開けた。iPodの分解は色々なところでやり方が公開されていた。前面のプラスチックと背面の金属の間の隙間に金属でできたギターのピックとよな分解道具を差し込んで簡単に開けることができた。

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iPodの中身

中にはHDD(青色のゴムで縁を囲まれている)が鎮座しており、その奥にバッテリーが。

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iPodのバッテリー

ちなみにHDDのモーターの会社に勤めていた友人にこのHDDの画像を送ったところ、板金加工で作られたこのHDDは今では作られておらず珍しいのだそうだ。(金属の伸びを計算するのが大変で、今では削り出しらしい。)

その奥にあるバッテリー、多分このバッテリーが老朽劣化してHDDのモーターの回転に耐えられないのだと思う。

バッテリーを買ってきて交換したところ、復活。そうそう、このカリカリ音が懐かしい。みんなカリカリ回しながら選曲したり、ボリューム変えたりしてたんだ。

そこでめでたし、めでたし、だったのだが、このiPod、前の持ち主の聞いていた曲や保存してた写真がのまま残っているじゃないか…。

この板金加工されたケースの中で回っているHDDの中に保存された曲や写真は、僕の知らない誰かが通勤や通学で聞いていた曲であり、見ていた写真だと思うとなんとも言えない気持ちになった…。

所詮1と0のデータ列でしかないし、そこに保存された曲にも写真にもなんの思い入れもないので、フォーマットして仕舞えば消えて無くなる。でも、元の持ち主にとっては大切な思い出だったのではないか?と思うと、特に毎日一緒だった思うiPodという端末だからこそそう思うのだが、そんな思いにふけってしまった。

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知らないだけかの思い出の詰まったiPod。その思い出が保存されているHDD

その他

iPod photo の分解方法。このページを参考にiPodを分解しました。

jp.ifixit.com

このHDDを外して、もっと大容量のコンパクトフラッシュやSDカードに変えることもできます。 こちらはSDカードに帰る場合

www.iflash.xyz

こちらはコンパクトフラッシュに帰る場合。一旦コンパクトフラッシュに変換後、SDカードに変換する方法も。

www.amazon.co.jp

NT札幌2020でLTしてきました。

NT札幌2020 (12/26(土) @ cluster)でLT登壇してきました。

NT札幌2020とは

NT札幌とは札幌で開催されるものづくりをする人たちが自分たちの作った作品を展示するイベント(NT:なんかつくってみた or NicoTech)だったのですが、今回はコロナ禍の影響もあって、clusterというバーチャルSNSを使ったバーチャル空間イベントでした。

私はその中の「NT札幌2020なんかつくってみたLT」で『見えない糸で結ばれた糸電話「ミエナイトデンワ」とは』というタイトルで登壇させていただきました。

ものづくり系イベントNT札幌2020|バーチャルSNS cluster(クラスター)

NT札幌2020 - PukiWiki

NT札幌2020ツイートまとめ #NT札幌 - Togetter

事前準備

これまでにclusterのイベントには何度も参加したことがあったのですが、初めて登壇者として参加しました。

clusterではPDFと動画(mp4)を会場の大型モニタへ登園することができます。それを見せながらLTをするというスタイルです。

パワーポイントを使えないというところはありますが、PDFファイルが使えるので、バーチャル空間で行っていることを除けば普段のLT大会とほとんど同じ感覚でLTができました。

ただ、手元のPDFと動画の進行が会場のモニタと同期しないことがあったため、何度か動作確認を行いました。

開催日まで登壇者は自由に会場に出入りして動作確認できるようにしていただいたので、何度も動作確認を一人で行っていました。PDFと動画を行ったり来たりする構成のLTにしたのですが、PDFと動画の会場モニタへの出力を切り替えのタイミングで手元のモニタが真っ黒になってしまったり、動画が会場に出力されなかったりしたのですが、横着せずに一度会場出力を終了してから切り替えるとうまくいく?といったノウハウをためながら当日の発表に望みました。

当日の発表の様子

一瀬さんのツイートから。このような感じに会場に設置された大型モニタにスライドPDFと動画をを投影して発表しました。

ステージの上にポツンといるアバターが私です笑。こういうとき、オリジナルアバターだといいなと思いました。

当日の発表動画

当日の私の発表の内容はYouTubeからまだ見ることができますのでリンクを貼っておきます。5分のLTです。自分のLTからすぐに始まりますので、もしよかったら見てみてください!

NT札幌2020「札幌とものづくり」「なんかつくってみたLT」「小岩井ことりさんスペシャルトーク」 - YouTube

自作したドラマ

また発表の中で紹介した自作短編ドラマです。。。


ミエナイトデンワ Invisible string telephone (Maker Faire Tokyo 2020, Ogaki Mini Maker Faire 2020)

小岩井ことりさんスペシャトーク

LTを視聴してくださった声優の小岩井ことりさんから素敵な感想をいただきました!

NT札幌2020「札幌とものづくり」「なんかつくってみたLT」「小岩井ことりさんスペシャルトーク」 - YouTube

その結果、カサネタリムは…

ロマンティックになりました。

当日の資料など

使用したスライド

当日使用したPDFをSlideshareにアップロードしました。

当日流した動画

当日使用した動画です。遠くにいる相手の方向に向き、見えない糸で繋がった状態(相手と向き合って、見えない糸がピンっと張った状態)になったときだけ会話ができる様子がわかると思います。


ミエナイトデンワ

LT登壇者との記念写真

最後にLT登壇者との記念写真(自撮り)です。 みなさん、お疲れ様でした!!

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登壇者の記念写真